今週のお題「元気を出す方法」 



今週のお題「元気を出す方法」

元気を出す方法

元気を出したいとき、私は口角を上げる。気持ちが沈んでいるのに、口角なぞ上がるものか。確かに、正論である。

元気がないとき、たいがい、口はへの字に曲がっている。そんなとき、鏡を見ようものなら、さらに気持ちは沈む。若い時分、アンニュイであり、憂いであったそれは、疲れやら廃退となっている。そんな疲れやら退廃やらは、さらに口角を下げゆく。そしてある日、左右非対称の笑顔となって現れた。とても驚いた。

そんなこんなで、左右の笑顔位置を元に戻すべく、口角上げを行っていたのだが、なにやら、気持ちも一緒に上昇していることに気づいた。元気がない日でも、口角上げをやっていれば、なんだか知らぬ間に元気になっていた。いまだ、右口角が少しく下方気味であるものの、日々の訓練により、かなりの位置を取り戻せており、併せて、気持ちの沈みというのも、以前ほどにはない。

きっと、意識してその形をつくることで、なんだか笑ってるぞと、心が引っ張られ、気持ちがそちらに馴染んでいくのかもしれない。単純な人間だからか、今のところ、それで元気が出ている。

新年の、銀だこ 

銀だこ




今週のお題「最近おいしかったもの」

1月の楽しみの一つに、銀だこがある。「焦がし醤油もちチーズ明太」という、新年を迎えるにあたり、ふさわしい一品である。

カリカリに焼かれたたこ焼きの上には、とろとろのもち、そしておなじみのチーズ、めんたい、刻みのりが乗る。たこ焼き然とした紅生姜の旨み、チーズのマイルドさ、そしてめんたいの辛味が絶妙である。特に今回は、現地にて出来立てを食したこともあり、カリカリととろとろの融合が素晴らしく、過去一のうまさであった。

たこ焼きにして一玉90円超えの高級品である。にもかかわらず、たこ焼きにその値段はなぁ、なんて言わせない、少なくとも私は言わない、そんな一品なのである。

期間限定なのが幾分か残念でもある。だけども、我が家としては、季節の風物詩として、期間限定であってほしいとも思う。

銀製の茶筒

茶筒


一生モノとは、今もこれからもずっと使い続けるモノ。私にとってのそれは、父から譲り受けた銀製の茶筒である。

小さな丸い槌目が全体に施され、銀色でなく黒い。もしかすると磨けば銀色になるのだろうが、このままがよい。昔からこの姿であった気もする。中蓋や中の筒部分はステンレスなのか、錆や黒みは全くない。中蓋はすっと落ち、道具としての用をなし、その質は変わらない。静謐な佇まいである。

父の死から30年、自分もその父の年齢に追いついた。茶筒の凛とした佇まいを見るにつけ、所有者としての自分をなにやら頼りなく感じてしまう。きっと、時を経た美しさがそこにあるから。

これからも、一緒に時を経て、いつしか、茶筒の所有者としてふさわしい自分になっていたい。